雪の迷い子 4

「すっかり。眠ってしまったわね。」
「ゆっくり…。おやすみなさい。」
「雪は、暖かく。貴女を包んでくれる。」
「もう、なにもつらいことは、ないのよ。」

雪の迷い子 3

『みて、みて。おっきい、雪だるま！』
「うん、すごいわね。」
『あぁ…。なんか、眠くなってきちゃった。』

雪の迷い子 2

「（そう。誘拐されて…そこで殺されたのね…。）」
「痛かったね…、苦しかったね。」
「……悔しかったよね…。」
『おねえちゃん。泣いているの？』
「いいえ。いいえ。」
「ちょっと、そこら辺の雪を使って、おねえちゃんと遊びましょうか。」
『うん！』

雪の迷い子 1

「ひま。」
「おや。あれは。」
『ふわぁぁあん。』
「どうしたの、こんなところで。」
『迷子。なの。』
「そう…。（この子、死者ね。）」

蒼い死者 5

『私はこの通り、稀に見る達人の剣士ですので。』
『時折現世からこの力を求めて召喚する者がいるのです。』
『ゆえに、まだ眠れません。』
『迷惑をかけませんから。』
『お許しください、雪に帰らすのは。』
「すでに。わたしには大迷惑をかけているけどね。」
「いいわ。貴女はうそをつく人には見えない。」
「でも。次に暴れた時には。」
「有無を言わさず雪に戻すから。覚悟しなさい。」
『ありがとうございます。』
『現世からお呼びがない時はパンでも売っておとなしくしておりますよ。』
「迷惑のかかる。パンは売らないように。ね。」
『はい。では。さようなら。』