彩様は歩みつづけるどこまでも

「（随分と。カラフルだけど…。媒体が必要ということは。）」
「生者なのね…。貴女。」
『聖者ではないわ。普通よ。』
「いまいち会話が成り立たないようだけど…。」
「きっと、本来の色を求めて歩んでいるのね。よい傾向だわ。」
「頑張ってね。」
『いまいち、会話が成り立たないわ。いまいち。』

裏切られた労働者 4

「雪に帰らないの？」
『今までずっと働きづめだったからな。』
『ちょっとこの世界しばらくブラついてくるとするよ、安心しな、悪いことはしねえから。』
『成仏する時はお穣ちゃんにお願いするよ。じゃあ、また会おうな。』
「うん。……うん。」

裏切られた労働者 3

「バカ！なにやってるのよ！」
「お金が欲しいのはわかるわよ！でも……お金よりも大事なもの、あるでしょう！」
「貴方のの子供は……きっと悲しんでる！」
『………。』
『お嬢ちゃんは優しいねぇ。こんな窓際のオッサンなんかのために泣いてくれて。』
「…優しいのは、おじさんでしょ。ばか。」

裏切られた労働者 2

「なんだって。こんなところにいるの。まだ死ぬような年でもないでしょうに。」
「お酒でも飲んで酔っ払ったまま電車にでも突っ込んだのかしら。」
『あー。半分違うけど、半分合ってる。』
『電車に突っ込んじゃったのよ。故意に。』
『おれも、若い頃はなかなかに優秀な技術者だったんだけども。』
『こないだ、経営がうまくいってない会社から人減らしの的にあたっちゃってね。』
「………。」
『若いやつらを一生懸命育てて。ようやく前線から引いて少し楽なポジションになれたかなと思ったら、これだよ。』
『まだ、子供も学生で金がかなりかかるからね。』
『そこで、保険金がほしくて、ヒョイっと。』

裏切られた労働者 1

『イエェーイ！』
「きゃあ！」
『いやー、肌も服も真っ白だから当然下着も真っ白だねーっ。』
「強制的に、雪にするわよ。このおっさん死者！」
『ひぃえぇえ。それは勘弁！』